【Webすしおおさか】令和7年10月号

大阪鮓組合 鮓 晴日

大阪府鮓商生活衛生同業組合
理事長 成尾 友紹

大阪・関西万博も、大盛況の内に無事終了となりました。鮓晴日におきましても、ラスト2か月は連日ほぼ満席で、携わって頂いた組合員さんも、本当に大変だった事と思います。

本当にお疲れさまでした。そして、ありがとうございました。

思い返せば、約1年半前、気軽に受けた依頼からのスタートでした。最初の内は、中々内容がよくわからず、すし店の全貌もよく見えず、ようやく見えてきたのは、今年に入ってからでした。

そうは言っても、先が見えないままですが、少しずつ話は進んでいき、その中で冷蔵庫の高さや、カウンターの高さなどの打ち合わせの依頼が入りました。わざわざ東京から、うちの店に冷蔵庫だけ見に来るというので、それならば、東京に知っている方がいるので、その方なら快く協力してくれると紹介したのが、東京鮨組合の目黒さんでした。それがきっかけで、目黒さんの強力なすし店作りが始まりました。目黒さんとは、毎日のように何度も電話でやりとりし、またロイヤルホールディングスの鈴木さんや、長谷川さんなどとの打ち合わせもやり続けていたのも、ついこの間の様に感じます。

さて、実際に出来上がったまっさらの店舗を見て、非常に綺麗で、すし屋の理想的な店だと感じました。製作に協力してくれた目黒さんには、いい提案をして頂きました。しかし、始めるに当たってすごく不安もありました。協力してくださる皆さんが、同じレベルで仕事が出来るのか。万博閉幕までそれが維持出来るのか。組合に対して損害になる様な事は起きないだろうか。目黒さんが必死で考えたメニューを、みんなが受け入れてくれるだろうか。ロイヤルホールディングスさんとの思いのズレが生じたりして、トラブルにならないだろうか。開幕当初は、万博に対してネガティブな報道ばかり目立ち、そもそもお客様は来ていただけるのかと。今思い返せば、そういう僕のマイナス思考が、余計に周りを不安にさせたかもしれません。

今になって振り返ってみると、それも取り越し苦労でした。仕入れ、仕込み、そして全ての調理に携わってくれた近藤副理事長。晴日に関わる全てのスタッフや、板場の皆さんに気を配り、足りない箇所を見つけては修正し、ベストな接客をいつも心掛けて取り組んでいただいた山根副理事長。そして、目黒さんが考えたシャリや厚焼き玉子を、足りない火力や狭い調理場で取り組んで頂いた福井副理事長。休みの日は、必ず来てくれた粟飯原副理事長、沖本副理事長、岩本技術委員長。そして、黙々と仕事に取り組んで頂いた、組合員の皆さん。その方々の動きを見ていて、これならいけると思ったのも、そう遠くない時期でした。

残念ながら、組合の事情で私自身、晴日から離れなければならなくなり、晴日で働いたのは最初の内だけでしたが、いい経験になりました。晴日で、妻や娘に振る舞う事が出来たのも、いい思い出になりました。

また、裏方で支えて頂いた方々にも、深く感謝致します。大阪鮓組合事務局の桝本さん、小中さん、新聞の松本さん、監事の大久保さん、東京の三多摩事務局の岩瀬さん。様々な雑務や写真撮影など、ありがとうございました。

晴日では、大阪以外からも協力して頂きました。東京の加藤さん、愛知の高須さん、服部さん、岐阜の林さん、埼玉の福島さん、静岡の植田さん。遠方より本当にありがとうございました。

大阪鮓組合の組合員、吹田支部の小西さん、室井さん、松岡さん、鶴留さん、東大阪枚岡支部の岡本さん、平野支部の大久さん、東住吉支部の福田さん、枚方市鮓支部の佐藤さん、寝屋川支部の郡さん、藤井寺支部の小松さん、藤野さん。皆様のご協力、本当にありがとうございました。

大阪・関西万博での貴重な経験をさせていただきました、ロイヤルホールディングスの皆様にも心から感謝致します。

鮓 晴日で共に働いた経験は、一生の思い出となりました。鮓 晴日はもうありませんが、鮓 晴日で培った思いや技術は、それぞれの方々達の中で継承され、発展していくと思っています。

皆様、本当にありがとうございました。

大阪・関西万博閉幕、鮓 晴日184日間完走!

培った技術、絆、想いは職人達に受け継がれ、輝く未来へ脈々と続く

大阪・関西万博は13日、184日間の会期を終えて閉幕した。期間中の一般来場者数は2,557万8,986人に達し、運営収支は最大280億円の黒字となった。 

開幕前は、万博開催反対、税金の無駄遣い、会場内のメタンガス爆発、海外パビリオンの建設遅れといったネガティブな情報により、前売券販売が低迷し、SNSでも否定的な情報が拡散されていた。

しかし、開幕してからは通期券購入者やインフルエンサーらによる、パビリオンや飲食店の楽しみ方など、リアルな生の声が日々発信され、来場者数が増加。潮目が変わった。鮓晴日でも、職人達がぶれることなく、最高のすしとサービスを提供してきたことで、インフルエンサーによってSNSに発信され、またテレビ局の取材効果もあり、8月以降は満席状態が続き、最終日まで走り切ることができた。

好意的なSNS発信で夏頃には来場者数が増加した万博

「鮓 晴日」の職人達
~本物の「すし」を世界のお客様へ~

◆粟飯原昌弘さん(副理事長・粟寿司・東大阪支部)
色々と楽しい場面もしんどい場面もありましたが、結局は楽しさが勝っていました。皆さんと仕事させてもらったり、江戸前の仕込みを教えていただいたりとメリットもありました。かけがえの無い貴重な時間をいただいたことは嬉しい限りです。皆さん本当に良く頑張りましたね。これを契機にステップアップして、皆さんと仲良く、今後も何かできたらいいなと思います。

粟飯原昌弘さん

◆大久等さん(大久寿司・平野支部)
参加して良かったです。最初はどうなるか不安でしたが、毎週来るごとに、楽しさが増してきて、一緒に働くメンバー達と交流を持つことができ、すごく楽しかったです。8月くらいから予約が多く入り出し、8月後半から休憩が取れないくらい忙しくなりましたが、すごくやりがいがありました。なかなかできない経験ができました。これも万博のおかげです。

大久等さん


 ◆郡博茂さん(磯平・寝屋川支部)
開幕当初は、メニューや仕事内容を覚えたり、メンバーも初めて仕事する方ばかりだったので緊張もしました。慣れないことも多かったですが、最終日に近づくにつれ、チームが一丸となって、何があっても対応できるようになったと思います。貴重な経験をさせていただきました。ありがとうございました。

郡博茂さん


 ◆佐藤勇樹さん(いさみ寿司・枚方市鮓支部)
皆さんにご迷惑ばかりかけていたと思いますが、一番若い中、皆さんに仕事を教えていただいたおかげで、何とか板場に立つことができました。4月のテストの時はめちゃくちゃ緊張しましたが、晴日に呼んでいただくことができました。皆さん優しい方ばかりで、何を聞いても答えていただきました。普段の場ではない、万博でしかないものだなと思いました。

佐藤勇樹さん


 ◆岩本雅さん(技術委員長・割烹司・堺東支部)
いい経験をさせてもらいました。いろんな職人さんと揉めることもなく、一丸となって、上下関係なしで仕事をするのが初めての経験でした。誰が一番だということもなく、皆さん、腰をついて床掃除もして、ぞうきんの取り合いまでしていました。万博は13日で閉幕しましたが、何か機会あれば皆で集まって、楽しい1日を過ごしたいと思います。

岩本雅さん


 ◆山根佳子さん(副理事長・本部直轄)
半年間、色々ありましたが、問題が無い時のほうが不安でした。後半になって予約が増えてからは特に、働く量と不安の量が一緒になって、気持ちが大変でした。
職人さんやロイヤルホールディングスのクルーさん、いい方ばかりに恵まれました。一緒に仕事をして、楽しいって思える気持ちは業種関係なく根本だなと思いました。
レシピ通りにしていても、ズレが生じる可能性もあったかもしれませんが、皆さん職人として本質的なところができていたので、最後までうまくいったのかなと思います。相談したりごめんなさいといっても、『わかってる。何があっても最後まで一緒に走るからね』と、皆さんで184日間の万博を走り切りました。

山根佳子さん


 ◆加藤益義さん(東京都組合・藤寿司)
あわびは、高齢者が食べるには歯が立たない、柔らかくならないかと、ボイルして焼いてこの形になりました。目黒さんが私の店に来たとき、トコブシをお出ししました。その味が忘れられない、やわらかくておいしくて、それをアワビでできないかと依頼があったのが、晴日に携わったきっかけです。

東京都三多摩鮨商組合連合会に所属しています。連合会では、すしの伝統文化と技術を称える会「すし職人’s santama」を結成し、商標登録もしています。声をかければ皆で集まり、すしの伝統文化を発信するため、様々な活動をしているところです。
※加藤さんには、晴日で提供した「晴れ」コースの鉢物、「焼あわび 有馬山椒ソース 酢橘添え」を考案していただきました。(取材は9月9日)。

気持ち悪いと言われていたミャクミャクも人気者に

白鶴酒造㈱ 大阪・関西万博出店

お酒の新しい楽しみ方提案
日本酒フローズン、飲み比べが好評

白鶴酒造㈱は9月28日から閉幕の10月13日まで、大阪・関西万博内の一般社団法人大阪外食産業協会(ORA)が運営する宴―UTAGE―パビリオンに「HAKUTSURU SAKE LAB.」を出店。白鶴大吟醸・Hakutsuru Blanc・梅酒原酒の「白鶴飲み比べ3種セット、日本酒ハイボールの「酒ハイ」、Hakutsuru Blancをフローズンにした「ブランフローズン」、純米大吟醸「天空」を販売。

一番人気は、大阪・関西万博限定販売のブランフローズン。1日400杯近く出るそうで、出店初日に売り切れになるほど。最終日の13日も早くも完売するなど大好評。お酒1杯200円、1合500円、注ぎ過ぎ無料!と銘打った「万博ありがとうキャンペーン」も実施。店頭には多くの方が買い求め、カップに貼られた白鶴やお酒がデザインされた千社札がお洒落だと、あちこちで映え写真を撮影する方も見られた。

同社の高垣元信課長は「万博終了後は、ブランフローズンを展開していきたい」と話していた。

11月は「生活衛生同業組合活動推進月間」です

安全・安心で衛生的なお店作りを

「生衛法(生活衛生関係営業の運営の適正化及び振興に関する法律)」が業界の先人たちの努力で昭和32年に施行されて68年。

全国生活衛生営業指導センターでは、11月を「生活衛生同業組合活動推進月間」と定め、関係機関や関係団体と連携し、新規営業者の組合加入促進のための組合の周知広報に取り組みます。そして、弱小企業が多い業界が法の重要性を再認識し、組合員のニーズに沿った組合活動の活発化と、令和時代の新しい生衛業界の発展を目指します。

大阪府民の衛生的で快適な生活を支える生衛業の発展に、ご理解ご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。

大阪育ちのこころちゃん通信(73)

大阪府健康医療部生活衛生室 食の安全推進課
HACCPの取組ポイント-衛生管理の実施・記録-

2回目となる今回は、「衛生管理計画の実施・記録」についてです。衛生管理計画が作成できたら、計画に沿って衛生管理を実施します。計画で定めた事項を確実に実行していきます。実施する手順については、必要に応じて、清掃・洗浄・消毒や食品の取扱い等の具体的な方法を定めた手順書を作成します。

実施結果を記録するときは、忘れず、正確につけることが大切です。衛生管理のポイントを明確にして実施記録をつけることで、食中毒発生の未然防止になります。また、記録を実施することで改善点が見えてくることもあります。これにより業務の見直しを図り、効率化につなげましょう。何か問題があったときは正直に、詳細に記録します。記録を確認して同じような問題やクレームが発生している場合は同一の原因が考えられますので、対応を検討しましょう。

一連の記録は、業界団体作成の手引書で推奨された期間保管します。賞味期限の長い商品を扱う場合は、商品の期限も考慮して合理的な保管期間を設定しましょう。必要なときにすぐ取り出して確認できるように店に合った方法で保管することも大切です。
日々の衛生管理の中で、計画に沿って実行すること、その結果を記録すること、つけた記録を適切に保管することを習慣化しましょう。


すしや万歳

学徒出陣は13歳~16歳だった。送り出す親の気持ちはどんなだったか。戦争に負けたおかげで、日本はまだ残っている。

父の遺言は「死に病と、銭儲けは大変だぞ、覚悟してかかれ!」だった。

今も終わる年齢になって80歳。銭は貯めないかんと思ったんだが、やはり不意に要る事が次から次へと。当たり前だが、結局は一銭も手元に無い。

私達は戦争を知らない。裕福な日本ではなかったけど、平和で家族みんなで暮らせて、振り返って見たら、一番幸せな日本の時間だった。世界中からうらやましがられる。本当にこんな時間って、なかなか無いんだよな。あとは世の中に、何か役に立つ事を残せるように、毎日毎日考えながら歩きたい。

鳥達はすいすいと空を飛ぶ。きっと注意している事が多々あるに違いない。

思うに、食べ過ぎない、肥満に成らない。寝坊をしない。早く寝る。鳥同士でけんかをしない。卵を産んだ時、子育ては協力する。これみんな、鳥達はやってるな。さすが!

家庭へのすしの出前が、全然なくなった。私店だけなら良いのだが、聞くとどこも同じらしい。消費者のニーズにあわせた努力が足らなかった。

自分勝手な生き様など、通る世の中はどこにもない。