春の味
なにわの野菜
【八尾牛蒡】やーごんぼ
3月頃が旬で茎が白っぽく長くて柔らかい、根茎よりも葉茎を食べる香り高い春野菜です。
【高山真菜】たかやままな
油菜のこと若菜の間引きから穂の先と呼ばれる花茎までを各々楽しめます。
【三島独活】みしまうど
生が一番ですが、甘酢漬け、味噌漬け、やわらかい皮はきんぴら、澄まし汁には生のまま短冊で、枝や穂先の天ぷらはまさに春の香りです。
【木積筍】こつみたけのこ
とりわけ朝堀りの筍は時間が勝負です。直煮といって生から味をつけても良いですが、それも鮮度あってのこと。空気にふれると硬くなって、えぐみがついてしまうので糠茹でが必要となります。
【天王寺蕪菜】てんのじかぶらな
他の葉物と同様ですが、持ち味が深いのでごく薄味が良く、お浸しや和え物も茹でずに直煮して、いったんザルにあげて冷風で色を止め、煮汁を用いて和え地、浸し地をつくります。
【碓井豌豆】うすいえんどう
豌豆は水の中でむくと空気に触れずやわらかく仕上がります。豌豆ごはんには、いったんゆでた湯を冷まして、少しのゆで汁に豌豆を浸しておき、残りのゆで汁に昆布を浸して二時間置いた出汁で塩味ごはんを炊き、そのあと豌豆を混ぜます。高野豆腐、海老や百合根、烏賊などとの玉子とじや、かき揚げ天ぷらは美味です。
【泉州水蕗】せんしゅうみずふき
アクが少ないので皮を取れば直煮しても子供でも食べられます。煮魚に、鶏肉と煮物に、また、5センチほどに切った蕗を梅漬けの紫蘇とともに煮浸しにして当座の作り置きにもなります。
【河内一寸空豆】かわちいっすんそらまめ
豆の爪を取ってもとの莢に納めて強火で蒸し上げ、熱いうちにいただくと香りも味もいい。焼いた鱚や、鯛の中骨などと煮付けても良い。素揚げに塩味、軽く蒸してバター炒り、豆皮をむいて二つに割り、海老のすり身などをはさんでの唐揚げも美味です。
【泉州玉葱】せんしゅうたまねぎ
五月に出る極早生種はピリッとした辛味とほのかな甘味があって刺身玉葱と言われるだけに、薄切りにして花鰹と醤油だけでも良い。脂肪のある魚の刺身や肉料理のつけ合わせ、サラダなどに最適です。
【淡竹・真竹】はちく・まだけ
米糠と鷹の爪で茹でてゆで汁のまま冷ましてから料理するのは孟宗に同じで、焼き穴子や生節との「炊き合わせ」や、鯛の中骨、時には肉と煮るのも美味です。
なにわの魚介
【春子鯛】かすご
鱗のついたまま数尾並べて細い金串を刺して遠火でゆっくりと焼きしめ、最後に鱗も焦がします。そあれを水と酒とキッチンペーパーで包んだ番茶に少量の酢を落としてゆっくりと煮き、醤油と砂糖で味をつけて煮詰めると日持ちが良く美味です。
【鮒】ふな
洗いにしたり、細造りにしてゆでた卵をまぶした山吹造り、韮、分葱などをゆでたものと酢味噌和え(ぬた)にして楽しみます。
【赤貝】あかがい
刺身も美味ですが、春に芽吹く野蒜や韮、分葱などとの辛子酢味噌和え(ぬた)が最高です。赤貝の難波煮は、青葱との醤油味の早煮です。
【鳥貝】とりがい
刺身、酢の物、饅やすしの種にします。活きたものを割って砂泥を抜いたら、強火で味醂醤油焼きも美味です。
【玉筋魚】いかなご
甘く艶よく照煮にしたものを特に「玉筋魚の釘煮」と称して春の贈答にしたりします。
【桜鯛】さくらだい
なにわの春と言えば何を置いても桜鯛です。鯛は大阪人のみならず広く好まれ調理法も多種多彩です。
【太刀魚・真魚鰹】たちうお・まながつお
太刀魚の塩焼きは春秋変わりませんが、昆布じめにした刺身のあしらいに春の独活や浜防風を添えたり、煮付けには淡竹や河内一寸空豆をともに煮て楽しめます。
真魚鰹は香り高い木の芽を味醂醤油に混ぜて焼いたり、信州味噌を味醂と酒でのばしたものをたれに、塩漬けの朝倉山椒の風味でいただくのも美味です。
【真蛸】まだこ
五月頃は特に若蛸の皮はやわらかく、塩ゆでだけで美味ですが、大きなものもゆですぎず中の三割ぐらいは生っぽくして三杯酢か辛子酢味噌、または梅肉を溶かした土佐酢も美味です。
【鮎並】あいなめ
刺身には、三枚におろして小骨を抜き取り、ごく軽く塩を振って30分後、皮を強火で焦がして冷水で冷やして拭き取ります。それを刺身にしたら、醤油に木の芽を刻み入れていただきます。
【目板鰈】めいたがれい
磯香の強い魚ですから、細造りか薄造りにして薬味をきかせたポン酢醤油で食べる事をおすすめします。
引用:なにわ大阪食べものがたり より
参考:すしの辞典 ふるさとの家庭料理 より